落ちこぼれの しにがみ

7/10
前へ
/93ページ
次へ
「でわ何故、人間を命日にあの世へ送るのが大事なのか…スィッチ、わかるか?」 とラグ先生は、またスィッチに聞いた。「えっと…え~っと…」 とまた急な質問に戸惑っていると、隣に座ってる優等生のエルダが「はい!」と手を高々と挙げた。 「でわエルダ、答えなさい。」 ラグ先生がエルダに言うと、エルダはニコッと笑い、お行儀よく席をスクッと立った。 「それは、人間は昆虫や植物や自然物と違い、死んでしまったら二度と生まれ変わる事ができないからです。だから、生まれ変わって、また新しい生命が誕生する昆虫や植物…長生きをする自然物より、寿命が短くて生まれ変わらず、新しい生命も誕生しない人間を、命日にあの世へ連れて行く事は、とても大事な事なんです。」 エルダがスラスラっと、少し早口で言い終えると、クラス中が一瞬シーンと静まり返った。 そして、その沈黙はすぐ拍手に変わった。そのクラス中の、しにがみの生徒からの拍手を浴びながら、エルダは恥ずかしそうに、そそくさ自分の席についた。 「僕だって、それくらい答えられたよ。」 席についたエルダに、隣の席に座ってるスィッチが言った。 「うん、わかってる。基本だもんね。」エルダがニコッと笑い、スィッチにイヤミっぽく言った。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加