約束

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「昨日ね…生まれて初めて、お友達ができたの。」 マーヤのその言葉に、お母さんは首をかしげた。 「同じ病院の子?」お母さんは、頭の中で誰だろうと、考えながら言った。 「ううん、違うよ。しにがみって言ってた。」 マーヤが、スラッと言ったので、お母さんはしばらく、呆然とした。 「マーヤ…」 お母さんは、その先の言葉がでなかった。 「いつもの様に、お外を見てたらね、お外の方から、声がしたの。バサバサって音がしてるから、何の音?って聞いたら、空を飛んでる音だよって」 続けてマーヤが言った。 お母さんは、ただ窓の方を向いたまま、話すマーヤを見つめ「マーヤ…」 という言葉しかでなかった。 「あたし、ずっと病院にいてお友達が1人もいないから、お友達になりましょうって言ったら、いいよって言ってくれたの。そしたらね―」 「やめなさい!」 マーヤの後ろから、お母さんの声が勢いよく突き抜けた。 「マーヤ…悪い夢でも見たのよ。きっと…」 お母さんは、すぐ優しい声に戻り、マーヤをなだめる様に言った。 「本当だもん!嘘なんかついてないもん!あたしの誕生日にも来てくれるって、約束したんだもん!」 マーヤは、クルッとお母さんの方向へ顔を向け、大きな声で言った。 マーヤの目には、いっぱい涙が溜まっていた。
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