落ちこぼれの しにがみ

5/10
前へ
/93ページ
次へ
「わかりました…中間テストは勉強してないんだな。困った奴だ。」 ラグ先生は、スィッチから目線を一切ずらさず、スィッチが言いたかった言葉を見透かして、スラッと言った。 スィッチは、しばらく立ったまま、勉強してなかった自分に、少し後悔したような顔をして、広げていた黒い羽をとじた。 「スィッチ、わかったからもう座りなさい。」 これも、見透かしたように、ラグ先生が立ったままのスィッチに言った。 スィッチは、顔を下に向けたまま、ゆっくり席についた。 その間も、しにがみのクラスメイト達のクスクスという、微かな笑いは止まなかった。 今まで、笑い声で盛り上がってた雰囲気を、仕切り直す様にラグ先生がクラス全体に届くような声で言った。 「はい、さっきの話に戻りますが、君たちはこれから、しにがみ学校の卒業試験を控えている。この試験に合格して、しにがみ学校を卒業とともに、立派なしにがみとして、しにがみ社会に貢献するように!」 しにがみの生徒たち全員が、真剣な顔でラグ先生に注目した。ただ、スィッチときたら、ついさっきの事を、まるで反省してない様子で、鼻くそをほじくりながら、肘を黒い机につき顔を寄りかからせていた。 「しかし!」 …とラグ先生が大声でスィッチを睨みつけながら言った。スィッチは、その大声に驚き姿勢を正した。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加