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真人はタバコを吸っていた。
ぷかぷかと立ち上る煙と嗅ぎ慣れない匂い…
すると、俺の目線に気が付いたのか真人がニヤリとして問いかけてきた。
「おまえも吸うか?」
わかってるくせに…
俺が吸えない事…
「ぃゃ、俺はいいよ…」
俺が答えると、少し離れた砂場の位置にいた真奈美が手に付いた砂をはたきながら近づき言った。
「タバコ…吸わないんだ?」突然言われたので俺はキョトンとした。
そしてふと、我に返り言った。
「え?…うん、まぁ…」
俺はまだこの子に慣れずにいた。
「冬彦~おまえも吸ってみろよ?おごってやるからさ」
「え?…でもなぁ…」
興味が無かったわけじゃない、タバコかっこいいと思ったこともある。
ただ、吸いたいと思ったことはなかった。
「いいじゃん!すっちゃいなよ!」
後先を考えてない好奇心丸出しの真奈美が笑いながら言った。
「ん~…てかまだ未成年だし、ねぇ?ホラ!法律とか…というか真人も俺とタメだろ?」
真人は全然気にしてないような顔つきで口の端を片方だけ上げた。
「俺はそんな法律なんて守らないもん」
「お前いつから吸ってるんだ?」
「まだ1年ぐらいかな…暦は」
「暦って…お前…」
真人と話していると真奈美が賛同するかの如く言葉が飛んできた。
「真奈美も1年ぐらいかなぁ」
ん?そういえば俺…こいつの歳を知らないぞ?
「真奈美さんは何歳なんですか?」
真奈美は、え?と顔をしながら言った。
「真人から聞いてないの?15です」
年下…?…俺は真人の顔を見た。
すると「言ってなかったっけ?」みたいな顔をされた。
あぁ…確かに言われてませんよ。そんなに重要ではないが…
というより、俺は真奈美を何一つ知らない。
そんな事を考えていると真人が息撒いていた。
「冬彦いくぞ!」
「どこへ??」
「いいから来いよ!」
また出たよ、おきまりのコレが…
俺は渋々真人に付いていった。
真人に連れられている間、後ろからひっそり真奈美が話し掛けてきた。
「敬語使わなくていいですよ?」
「え?」
「え?じゃないよ、真奈美は年下なんですから」
「あ…あぁ…じゃあ俺にも使わなくていいよ」
真奈美はニッコリとしてうなずいた。
ヤバイ…
コイツ…可愛いかも…
「真奈美、実は敬語苦手何スよね~」
その言葉はタメ語なのか敬語なのかはっきりしてくれ…
だが、それにより真奈美は俺に対して気軽になったようだ。これはこれで良かったみたいだな…
前の方を歩いていた真人が急に止まった。
そこはタバコの自販機の前だった。
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