煙草

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「お前にはこれがいいかな…」 そういうと真人はタバコを購入するボタンを押した。 「それ、もしかして俺に…?」 「当たりめぇだろ、せっかく買ったんだから全部お前が吸えよ!無駄にすんなよ!ホラ!」 まるでツッコミを入れるかのような言い方でそれを渡してきた。 タバコを手にした俺はなんだか危ない薬でも手にしたような感覚だった。 目の前にあると好奇心が押さえられなくなってる…。 「じゃあ…一本だけ…」 真人と真奈美が見ている前で宣言した。 「そうこなきゃな!」 真人はなんだか嬉しそうだ。 真奈美もなんだか嬉しそうだ。 …ん? 嬉しそうというより…おまえら笑いこらえてないか? 「いいからくわえろ!そして吸え!」 俺はタバコをくわえ、火をつけられた。 「あれ?タバコに火がつかねぇな…」 真人の不思議は一瞬で終わった。 「お前もしかしてまだ吸ってないべ?」 俺は「へへっ」と笑った。 「早く吸え!」 真人に軽く頭をこづかれた。 まるで漫才をしてるかのような姿をみて、真奈美はニコニコしている。 その笑顔を見てしまった俺は変な勇気をもらった。 火をタバコの先に当てた…一瞬ジジッと火薬が弾ける音が聞こえた。 俺は思いっきり… 吸ってやった! !!!! !!!! !! 吸った途端、間違って2回吸ってしまった! それが正しい吸い方なのだが…思いっきり吸ったたもんだからそれが一気に肺に入ってきた。 喉を煙が通ってるのがわかッ…るゲ 「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!!」 俺は案の定、むせてしまった。 それを見ていた、真人と真奈美は大爆笑!二人とも腹を抱えて笑っている。 さっき笑いをこらえていたのはこの事だったようだ。「冬彦…気にするな…みんな…一度は…ククッ…通る道だ…」 少し吹きながら慰めるなよ… 「真奈美の時は笑われなかったよ」 真奈美も楽しそうに言ってきた。 それならなおのこと! なぜ!! 「冬彦は顔がウケんだよ」 … …結局そうなるわけね… 真人の一言でふたりはドッと笑った。 …♪♪♪ 「誰か携帯なってない?」 真奈美がその音に気がついて教えてくれた。 真人の携帯だった。 「あ、俺じゃん!」 そういって真人は電話に出るとあちこちと動きながら話し始めた。 それを見ながら俺はタバコを吸ってみた。 2回目は平気みたいだ… 真人が電話中…俺と真奈美は会話しなかった。 やはり、お互いまだ遠慮があるのだろう。 やがて電話が終わって、真人が言った。 「じゃあ、公団いこうか?」
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