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「公団?」
俺は当然知らない。
「公共団地…なんかマンションみたいなとこだよ。」
真人がうまく説明できない用に答えた。
「マンション?公共団地?」
うまく説明されてないから俺にも伝わらない。
「つまりは…みんなの溜まり場だよ」
見兼ねた真奈美がキッパリ言ってくれた。
「マンションに溜まれるのか?」
そんな俺の疑問もかき消されるように真人が言った。「いいから行くぞ!」
ひとり真人が熱く走りだした。
それを俺と真奈美は冷たく見ていた。すると、真奈美がボソッっと言った。
「真奈美…汗かきたくない…」
あはは…男女の差だなこりゃ…
「何やってんだよ!おせーよ」
真人お願いだ…空気を読んでくれ…
…
そんなこんなで「公団」と呼ばれるところに着いた。
そこは確かにマンションなんだが、1階に広場のような公園とも呼べない公園があった。
遊ぶ道具は変な動物の椅子、あとは砂場…「たむろ」して集まるにはちょうどいいところだった。
その広場の中心に自転車を止めて動物の椅子に座っている2人の男をみつけた。
「真ちゃん来た!」
俺たちが話し掛ける前に声が飛んできた。
「よう!ノッチ」
ノッチと呼ばれるコイツは、背、手、顔、足、すべてが小さく、唯一でかいのは「態度」ぐらいだった。
その隣には、男が立っていた。
「マー君も居たんだ」
マー君と呼ばれるコイツは…でかく細長い男だった。
「真ちゃん!コイツがあの言ってた冬彦なん?」
「そうだよ」
「ふ~ん」
どうやら俺の情報は知らないところで流れているようだ。
「真人…どうすんだ?これから」
細長い男から低い声が聞こえた。
「カラオケにでもいくか!」
相変わらず、よくわからない空気を作り出す真人に俺は言った。
「野郎ばっかで真奈美ひとりじゃ可哀相じゃね?」
ふと、俺はなんてレディに優しいんだ。と自負した。
「私は平気だよ、慣れてるし」
真奈美に言われて、自負した自分が少し恥ずかしくなった。
「まぁ…冬彦君もいることだし、私が適当に連絡して集めてみるよ」
真奈美の言葉に男達はみんな一斉にうなずいていた。…
みんなと一時別れて、個々準備をすることになった。残されたのは俺と真人、俺も準備をしなくてはならないみたいだ。
「お前さ、いくら上着を脱いでるからって学ランはまずいだろ…」
真人は茶化すかのように言ってきた。
「仕方ないだろ?学校に行く振りして来たんだからさ」
「服貸してやるから来いよ」
そういうと真人はまた熱く走りながら家に入っていった。
俺は歩いてついていった。
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