長い夜

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30分経過… 来ない… 仕方ないので姿の見えない看守さんにお願いした。 どうやら忘れていたようだ…もっと早く気が付けば良かったと下唇を噛んだ。 もう胃液が出すぎている… しばらくして、なかなか豪華な弁当がきた。 「おぉ…」 俺は驚いた。マズイ飯を想像していたから、喜びもあった。 「なかなか豪華じゃね?」 どうやらアツシもこの豪華な弁当食ったみたいだ。 俺は突然視線を感じた。ヌッと鉄格子から覗かせる顔があった。 看守だ… 意外に普通… 「9時に就寝で電気が消えるぞ、それまでに食えよ」 そういうと看守は奥に消えた。 9時ってあと20分じゃん… せっかくの豪勢な弁当を味わずに口にかきこんで食べると寝床についた。 寝る前にアツシは壁を爪で何かしていた… 「何してるんだ?」 俺は気になってついきいてしまった。 「あーコレ?“日にち”だよ、“正”って字を書いていくんだ」 見るとアツシは“├”と書いてあった。どうやら2日しかたっていないようだ。俺より1日早いと言うことになる…というより書き順違うんじゃないか? 電気が消えた… 就寝時間がきたようだ。 あたりはシーンとしてるが時に何の機械かわからない音が聞こえてくる。 真っ暗の中…今日を振り返ってみた。 巡査長は真人を知っているのだろうか… みんな、あの取り調べ室で取り調べたんだろうか… それよりも真奈美がなぜ…取り調べられているのだろうか? あいつは関係ないはず… 俺がどんなに考えようと答えは出なかった。 「なぁ起きてるか?」 暗闇の中、アツシの小声が聞こえてきた。 「起きてるよ」 暗闇に俺も小声で返した。暗闇の中、言葉が出ては消える 「ケツメ知ってるか?」 「ケツメイシの事?」 「そう、その”トモダチ”って歌知ってるか?」 「聞いた事はあるけど…」 「良い歌だぜ…ここ出たら聞いてみな」 「どんな歌なのか少し教えてよ」 「無理だよ、こんな所で歌えるか!」 コツコツ…牢の外の通路を歩く音が聞こえた。 「マズイ誰か来た…」 俺とアツシは寝たフリをした。 コツコツ…コツコツ…ピタ… 止まった所はここの牢の前…ばれたのだろうか… コツコツ…コツコツ…コツコツ… 靴の足音が小さくなって消えていった。 「アツシ…行ったぞ?起きてるか?」 「……」 「寝てるのか…?」 「…スー…スー…」 「お前のせいで目が冴えてきちゃったよ…」 とは言ったものの…いつの間にか、俺は夢の中に入っていた。
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