9人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は家出の際、携帯を持ってきていた。
家出して2ヶ月それで連絡をとっていた。
しかし、支払いをしなければ携帯というものは利用できなくなる…
カラオケから数日後…
事は真人が携帯を持ってなかった事から始まる
「え?あれ真人の携帯じゃなかったの?」
俺は真人が携帯を持ってないから驚いて言った。
「おう!あればかーちゃんから借りてた物だよ」
コイツ、昔持ってたはずだが…
「なんで自分の買わないんだ?」
「俺の名義はパンクさせちゃったからな」
「パンク?」
「払えなくなってそのまま放置ってやつだ」
真人は笑い話にしながら言った。
「払えばいいのに…」
「そのうち払うからさ」
俺はこの時、深くこの事に干渉しなかった。
ここ数日…俺は真人の家に厄介になっていた。
寝る所、食べ物…家出なのに屋根のある雨風しのげるのは悪いものでなかった。
そして昔の学校での出来事を忘れて毎日のように遊んだ。
家出から2週間が過ぎてきた頃…
俺は日雇いバイトを始めた。
それは定期券を崩したお金がすでに底をついたからだった。
ある日、仕事にいくのに携帯を忘れてしまった。
「…やべ、まぁいいか、テレホンカードあるし会社の番号わかるから平気だ」
気軽に考えて仕事に向かった。
仕事を終え、帰宅途中…
俺は最近の事を考えていた。
あれから2週間以上たつのか…親父は捜索願いとか出してないのかな?
何度も補導受けてるが、そんな事は言われなかった。
でも、帰るつもりもない…
あんな地獄の毎日…
今のみんなは平等に俺に付き合ってくれる。
ここに格差は無いんだ。
と…思っていた…
真人の家に帰ると…
真人が俺の携帯をいじっていた…
「なにやってるの?」
真人は俺に気付くとニヤニヤしながら言った。
「ちょっと、出会い系サイトをね」
別に使うのはいいんだ。黙って使われてることに俺は腹がたった。
「勝手にやらないでよ」
真人は睨み付けるように俺に目線をして言った。
「…住まわしてやってんだろ?メシだって食わせてやってるし、それにどうせ親が払ってくれてんだろ?」
真人の言い方に耳を疑った…しかし、家出の身でお世話してもらってるのは事実。文句は言えなかった。ただ、親に携帯代は出してもらったことはない…
「そうだけど…」
「ならいいじゃねぇか、ケチケチすんな」
その場の空気は凍ったまま。真人は俺の携帯を放すことはなかった。
この日を境に俺と真人の間で何かが少しずれていった。
最初のコメントを投稿しよう!