携帯

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「仕事場に電話するから…返してくれ」 もちろん嘘だった。 俺はとにかく、真人から携帯を取り返したかった。 「ほらよ!あとでまた貸してくれよ、〇〇ちゃんからメールがくるからさ」 真人の言葉に俺は返事をせずに電話を耳にあて電話をするフリをして、真人の家から出た。 出るとすぐに携帯のメールフォルダをみてみた。見知らぬアドレスからたくさん来ていた。 俺はすぐに帰るのが気まずく、散歩をすることにした。 ここは都会…ビルが多く立ち並ぶ栄えた所だ。 夜でも明かりがついていて眠らない町と言っても過言ではない。 俺の住んでたところはこことくらべると田舎の分類に入る。 俺はにぎやかな都会の方が好きだ、それはなんだか一人じゃない気がするから。 「冬彦??」 後ろから声がした。 振り替えるとコンビニ袋を下げた真奈美がいた。 「ウス…」 俺は気持ちが落ちてるような声を出してしまった。 「どうしたの?てか真人は?」 「いや、1人だよ。なんでアイツが出てくるんだ?」 「ほら!いつも2人で行動してたじゃん?だから、めずらしいなって思って…」 「ちょっと1人でタバコ買うついでに散歩してるだけだよ」 「ふぅ~ん…」 さっきまで夕方の空だったのがいつのまにか暗くなっていた。 「ほら!」 真奈美は何やら俺にコンビニ袋を差し出してきた。 「ん?何?くれるの?」 俺は中身を知らないコンビニ袋を無理やり受け取らさせられた。 「女の子が重い荷物を持ってるのに、男は手ぶら?」 「重いってコレ、菓子パンじゃん…全然重くないよ」 「女の子はカヨワイ生き物なの!」 「はいはい…ボソッ(カヨワ過ぎだよお前)」 「何か?」 「いや、何でもないよ」 仲良くなってくるとこんな会話もして、俺はさっきの落ちた気分はどこへやらといった感じになっていた。 真奈美と、とりとめの無い話をしているとアッと言う間に真奈美の家についた。 俺は真奈美の家の前で挨拶をして去ろうとした、その時 「チョコチップメロンパン好き?」 「え?チョコチップ何?」 俺は突然言われたのですごく簡単な質問の解答に困った。 「良かったら食べていく?弟の分買ったんだけど、弟いないみたいだから」 真奈美はそう言うと駐輪場に目をやった。 弟の自転車がないから居ない事がわかったようだ。 「そ…そうしようかな」 俺は真奈美の家にお邪魔することになった。
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