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「ふぅ~ん、そんなことがあったの…」
「そうなんだよ…」
真奈美はしばらく黙った。
俺はその間を埋めるように言った。
「まぁ、俺もアイツの世話になってるし、何も言えないんだよなぁ…」
「…それだよ…別に真人の世話になってるワケじゃなくない?アイツに何してもらってるの?」
「それは…」
俺をこっちに呼んでくれて…そんで遊んで…遊んで…遊んで?
特に何もしてもらってない気がする。
「しかも、だからって携帯を勝手にいじっていいワケ?わけわかんなくない?」
真奈美もアイツにたいしてうっぷんがたまってるようだ…
「アタシ、ぶっちゃけアイツの事キライだし…」
「え?嫌いなの?」
「嫌いだよ!アイツ、自己中だし、キモイし、口臭いし」
「凄い言われようだな…」
今の俺には友達がけなされたなどは感じなかった。気分的にもそうだが、その悪い所は俺も十分知っていたし言い返せないからだ。
ピリリリリ♪
突然、俺の携帯が音を鳴らしながら震えた。
真人だ…
俺は携帯の通話ボタンを押せずにいた。通話したくなかった。
「誰から?真人?」
俺は真奈美に目をあわせてうなずいた。
「出なくていいんじゃない?」
そんな会話をしていると…電話が静かになった。
結果、無視をしたことになった。
再びやってきた沈黙だった。しかし俺が決心して口をひらいた。
「俺はコイツのこと友達だと思ってる…いい所もあるんだ。」
「…冬彦…それ、人良すぎだよ」
「そうかな?俺はいつかあいつもわかってくれると思うんだ」
「あの真人はどうかな…」
真奈美の言葉を聞きながら俺は立ち上がりながら言った。
「信じなくなったらダメだって、俺、あいつのとこ戻るよ」
「ちゃんとやめるように言うんだよ」
「わかってるってそれに俺はアイツに何もしてもらってないわけじゃない」
「何かあるの?」
「アイツが呼ばなければ真奈美もみんなも会えなかった…」
俺はその言葉を言い残すと真奈美宅を後にした。
真人には真奈美に逢ったことは言わなかった。
ただなんとなくコンビニで立ち読みしていた…と
携帯の話をした。
真人も了承してくれた。
なんだ…やっぱり言えばわかるんじゃないか。
数日後…
携帯が止まった。
家出中で料金を払っていなかったからだ。
請求金額
33万3千円
明細によると真人の使ったインターネットが原因だった。
俺の名義がたった1ヶ月で黒い名簿に乗ることになった。
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