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携帯が使えなくなって
1週間が経った。
もうすっかりこのへんの住人と化していて家出など感じなくなってきた。
真人ともあのあと後腐れなくお互いサバサバしている。
そんなある日…
「おぉーい、冬彦!」
自販機で煙草を買っていた俺に誰か話し掛けてきた。
「え?」
まわりを見渡しても誰もいない。
「ここだよ!ここ!」
声のする方を探すと公共団地の2階の廊下からマー君が顔を覗かせていた。
「何してんのー?」
俺も2階に聞こえるように少し大きな声をあげた。
「あー?」
「何してんのー??」
俺はさらに大きな声を出したが…
「あー!そうだな!今日も暑い日だ!」
なんて聞こえたのかは謎だが…
どうやらこっちの声は向こうに聞こえずらいようだ。
「今そこにいくから待っててー!」
「うん!俺はウーロン茶ねー!」
わざとか?と俺は少し疑いながらも笑った。そしてウーロン茶も買った。
まぁもともとマー君は声が低い人だからなぁ…
…あ、耳と口関係ないや。
そんなくだらない事を考えているとマー君のいる2階にこれた。
「どうしたの?マー君」
「ん?いや、別に見つけたから呼んだだけ」
「あ…あぁそうか」
マー君はいつもの低い声に変わりさっきの大声はどこへ消えたのか。「あ、そうだ!今日サリナの家で飲み会あるが…」
「飲み会?俺ら未成年だぞ…」
笑いながらマー君は言った。
「かてーよ!冬彦。イマドキ、酒なんて普通じゃん?」
「てかサリナって誰よ?」
「あれ?オマエ知らないんだっけ?カラオケに一緒に行った女いたろ?」
「あー真奈美がつれてきたうちの一人か」
「そうそう2人いたろ?2人ともくるから…って…わかったら早くウーロン茶くれないかな?」
俺はウーロン茶を握ったままで話していた。
「あーごめんごめん」
俺がウーロン茶を手渡すと軽く手をあげ、おじぎしてマー君はウーロン茶を飲みだした。
どうやらよほど喉が乾いていたようだ。
「さんきゅ!助かった」
「飲み会の話の続きは?」
マー君はウーロン茶を喉に通したながら言った
「んぁ?飲み会?あー今夜やるぜ」
「は!?今夜!?早くね?」
俺は驚きともに裏には歓喜があがった。
「あぁさっき決まったんだもんよ」
「真奈美くるの?」
「サリナとエリナがくるんだからくるべ?」
マー君は変わらず低い声で淡々とした表情だった。
「冬彦参加するの?しないの?」
「するに決まってるじゃん」
俺は当時この決断を重くとらえていなかった。
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