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「なぁきいたか?」
俺はマンガを読んでいる真人に問い掛けた。
「飲み会だろ?」
マンガを読みながら真人はシレッとした口調をしていた。
「なんだ、知ってるんじゃんか」
「知ってるよ、知ってるも何も…」
真人はだんだんニヤニヤと顔が崩れてきた。
「まさか」
「そうだよ!俺とノッチがいいだしたんだよ~ん」
真人は満面の笑みで言った。
「マジか!なんで突然?」
「実はさ、恋は行動かな…ってね」
真人がニヤニヤしながら言った。
「なんだ?その意味深な発言は…誰か好きなの?」
俺はこの時少し不安だった。あの名前が出てほしくないと…
「実は…真奈美なんだけどね」
真人の発言に俺の予感は的中していた。
「マジか!気が付かなかったぜ」
俺は今の台詞がちゃんと震えずに言えたかわからないくらい動揺していた。
「可愛いよな、アイツ…」
この浸っている真人には言っていない。
真奈美が真人をどう思っているか。
結果が見えている俺としては複雑だった。
言えない…
なんて俺が考えていると真人から問いかけられた。
「冬彦は好きなヤツいないのかよ?」
まずい…
その言葉の解答は何かが変わる気がする。
「真奈美だろ?」
「…!」
え?コイツにバレてた?
「その反応はマジなのか?」
しまった。カマかけられた。
えぇい!クソー!
「ま、まぁな」
場に亀裂が入った音がした…途端
「悪いけど!お前には負けねーよ」
真人は余裕な口振りで俺に言ってきた。
「お、俺だって!」
俺はちゃんと言葉の応戦ができていただろうか…
この2人の間で口には出さなくても決戦の舞台は決まっていた…
【今夜の飲み会で真奈美と距離をちぢめた方が勝ち!】
もう月が顔を出していた。もうすぐ夜がやってくる…
その夜は怪しげに光るオレンジ色の満月だった。
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