留置場

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あれから一年後… 「ピンポーン…」 正午過ぎ… ある家のチャイムがならされた… 「はい、どちらさん?」 中年の男がドアホンで受けた。 「お父さんでいらっしゃいますか?〇〇県警のものです。こちらに冬彦さんはいらっしゃいますか?」 「〇〇県警?(となりの県じゃないか…) 冬彦になんのようで?」 「実はですね、冬彦さんに聞きたいことがありまして…あけてもらえますか?」 「えぇ、わかりました。」 そういうと中年の男はドアホンを切った。 「冬彦ー?〇〇県警が来てるぞ?お前なんかやったのか?」 すると寝起きだったのか、冬彦らしき人物が寝ぼけ眼であらわれて、言った。 「え?〇〇県警?知らないよ?」 「じゃあ…なんで〇〇県警の人がくるんだ?」 そういいながら冬彦のお父さんはドアをあけた。 「失礼します!」 と言うと刑事と思われる、私服を来た警官たちが一斉に家に入ってきた。 「君が冬彦君?ちょっと部屋見せてもらうね!」 「はぃ…」 「あー、あと部屋のもの触らないように…」 そういうと俺の部屋を荒らしはじめた。 俺は何が何だか… 「これは君のカード?」 刑事が見ていたのは俺の財布、必要以上に「誰のものか?」と聞いてきた。 「はい…俺の物です…」 「冬彦!本当のことを言うんだぞ!嘘はつくな!」 うっせーよ、親父。わかってるよ… そして、しばらく刑事が部屋を物色したの後、言った。 「お父さん、落ち着いて聞いてください…」 と、親父に刑事は、冬彦さんがある事件の容疑がかかっていること、しばらく話を署できくこと、容疑が晴れれば無事帰ってこれること、などを説明した。 「と言うわけだから。冬彦くん?少し着替えを持って来てくれるかな?」 「はい…ジャージでいいですか?」 「ん~ヒモがついてるのはダメだ」 「え?なんでですか?」 「凶器になるからね…自分にも相手にも…」 ヒモのない服をまとめ、冬彦はパトカーに乗り込んだ。 車内は冬彦を囲むように刑事が座った。 「冬彦君…お父さんには、あぁ言ったんだが…」 「はい…」 「君にはもう逮捕状がでてるんだ…悪いね…だから“これ”付けさせてもらうよ」 冬彦は黒い手錠を両手首にかけられた… それはパトカー内で親父に見えないように行われた… 「やけに落ち着いてるね」 刑事は笑って言った。 「なんとなく気がしてましたから…」 俺は例の事件にかかわった友達、いわゆる悪友が次々消えていってたのを知ってた。 俺はさっきまで夢の中だったのに、次は留置所の中なんて人生で一番最悪な寝起きだと笑った。
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