留置場

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「アツシよろしくね」 「…お前、何歳なん?」 「え?16だけど…」 「その顔で16?フケてんな…」 なんだコイツ!!失礼な奴だな…まぁよく言われる事だが…アツシは笑っていた。 「アツシは何歳なん?」 「俺は15だよ」 「15か…」 ん?待てよ…なんで15でバイク乗れるんだ?おかしくないか? 俺がそんな事を考えているとコツコツと足音を立てて、冬彦とアツシの牢屋の前に警察官が来た。 ジャラジャラと持っている鍵で牢の扉をあけた。 「おい、アツシ…取り調べの時間だ」 「……」 「手を出せ…」 「……」 アツシに手錠をはめた。どうやらここから出るときには手錠をはめるらしい。 よく見てみるとヒモがついていて、形状が少し違うようだ。 「アツシ返事ぐらいしたらどうだ?」 「……はい」 アツシの返事を最後に沈黙になってアツシと警察官は奥へと消えていった。 しばらくして 「………」 冬彦は一人になってみると人恋しさを感じた。 何も聞えない… 気が付くと、どこからともなくオレンジの夕焼けの光が差し込んで牢屋をオレンジ色に染めた。 そんな光に包まれていると俺は何か、心にしみるものがあった… 「悪友からは手を切れ!!」 親父の空耳だった。 あの時、俺は… 「悪友なんかじゃない!大事な友達なんだ!なんでそんなこと言うんだ!」 と泣いて怒った。 親父は一瞬ひるんだが… 「お父さんはな…お前のためを思って…人生経験の浅い冬彦が…」 親父がいい終わらないうちに冬彦が言葉をはさんだ。 「友達は…親が選ぶものじゃないだろ!俺の友達は俺が選ぶよ!」 「きけ!冬彦!お父さんはな…」 「うるさい!もうあんたの話なんか聞きたくない!」 冬彦は自分の部屋に戻ってしまった。 親父は冬彦を追い掛けなかった。 …… …ガチャン それは牢の鍵の開く音だった。 「冬彦君…次は君の番だよ」 「……はぃ」 俺は今、牢屋にいる… 親父の言うとおりなのかもしれない。 友達は選ぶべきだったのか… 「もし俺が捕まってもおまえらには迷惑かけない!だって…俺ら親友だろ?」 考えが改まるような言葉を思い出した。 友達の言葉だった。 その時の友達は笑っていた。 俺は汚い事を考えてしまった。そう保守的な、卑怯な考え、それは。 あいつは喋ってないんじゃないか?、俺がシラを通せば俺は助かるんじゃないか?、みんなどこまで話したんだろうか? みんなは…。 … …… 「さぁ…取り調べを開始します」 「はぃ…」 気が付くと、柵の窓のある小部屋に俺はいた。
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