第三章・―捜査開始―

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「お早う、明君」  次の日の朝早く、珍しく一番に出会った高村に満面の笑みでそう言われた明はあからさまに顔をしかめた。  いつも一番に入るため、署内には一人もいないものと決めてかかっていた明は、答えを待っている様子の高村に対して無遠慮にふるまう。 「高村警視、何か悪い物でもお食べになったんですか」  朝の挨拶もなしに開口一番ですげなく返された高村が、必要以上にショックを受けた様子でため息を吐く。  それ以降は黙ってくれた高村を無事に回避したと判断したのか、明はそれ以降は興味を示さずに、自分のデスクに移動すると早速煙草の箱を開ける。  持参していなかったのか、出勤する際既に一箱開けてしまったのかは分からないが、取り合えず「着いたら煙草」が彼の日課らしい。  それからすぐに一本取り出し、それに火を点けて深く紫煙を肺に吸い込むと、そこで背後から明るく声をかけられた。
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