第三章・―捜査開始―

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「きたか」  つられて高村も振り向くと、そこには新野と井原が早くも疲れた様子でたっていた。  二人の背後には猫背で、いかにも小心者といった出で立ちの男が忙しなく視線を動かしていて、それらの連中を引き連れた令だけが、何故か疲れも感じさせない満面の笑みを浮かべて立っていた。 「遅くなった、ごめん」  令が片手で謝る仕草をして見せるのに、明は頷くと書類から完全に目を離す。  それから猫背の男の方へと視線を向けると、いつになく低い声で言った。 「そいつが例のストーカーか?」  見るからにそれっぽいため改めて確認する必要もなかったが、一応聞いてみる。 「そうだよ。所轄から外に出て、ここまでくるのをかなり恐がって暴れてさぁ。宥めながら連れてくるのが大変だったよ」  朝一番で疲れまくったと言わんばかりに、令は自らの肩を叩く。
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