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そこで一旦会話が途切れたのを見計らって、今までやり取りを黙って見ていた新野がこれからの事を質問する。
「あの。これからどう動いたら良いですか?」
ここまできたからにはと、珍しく真面目な表情で指示を仰ぐのに、猫背の男に視線を寄越した明が口をひらく。
「まずは書類に目を通せ」
言いながら三人に近寄り、持っていた書類を渡してやる。
それを令が受け取ったのを確認してから、明は煙草を手に持って、近くのデスクにあった灰皿に押しつける。
そうして懐から新たな煙草を取り出すと、今度は火も点けずに口に咥えるだけに終わった。
書類には昨夜以上の情報が記されているので、新野達は真剣に読み始めたのだが、令は明の動向が気になっているのか、すぐに書類から目を離してしまっていた。
すると案の定というか、いつもはしつこいくらいに煙草を切らさないのにと、様子の異なる明を見て心配そうに声をかける。
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