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「どうしたんだ? いつもと様子が違うけど、何か気になる事でもあるのか」
「花」
聞かれた明は自分を心配する言葉には無反応のままで、たった一言そう呟いた。
スルーされた令は、そこのところを気にもせずに、何故明がそこまで花にこだわるのかが分からないといった表情で唸る。
確かに、遺体の上に丁寧に置かれていたドライフラワーは、普通の状況とは違い気にかかる。
だが令にとっては、別に何の考えもなしに置いたのではと言われても、何の疑問もわかずに納得しそうな類の引っかかりに過ぎない。
常識的な考えで殺人が行われる訳でもないが、だからといって特別珍しい事でもないように思えるのだ。
むしろそんな些細な事柄に、必要以上に引っかかりを覚える明の真意が読めない。
令が首を傾げながら言うが、明はそれでも納得出来ないという表情で、昨夜と同じ質問をする。
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