第三章・―捜査開始―

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「だったら考えろ。どういう心境になったら、遺体に花を添えたくなるのか」 「えぇ?」  それにはさすがの令も、あからさまに嫌そうな顔を見せた。  こういう時の明は物凄く厄介で、捨て置けと言っても聞かないだろう事は、付き合いの長い令にはよく理解っている。  昔から何でもかんでも理屈をこねたがる明とは違って、令は犯罪心理学にも法医学にも全く明るくない。  まぁ言うなれば、所詮は一介の刑事なのである。  そんな令に、まともな答えを求める明はいちいち優しくない。  そんな態度がありありと伺える様子の令を差し置いて、井原の方が声を上げる。 「……あの。もしかしてそれって、何かの演出とか、見立てなんじゃないですか?」  その言葉に明は瞬間意外そうな表情を見せるが、そのまま無言を貫くと仕草だけで先を促した。
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