第三章・―捜査開始―

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 既に明の内である程度の推理が出来上がっているのか、それとも珍しく後ろ向きな態度を見せる上司に憤っているのか。  相変わらず無表情でいるせいで、ちらっと伺い見るだけでは全て察する事が出来ない。  まだ全て推理する材料も少ないが、細かなところからでもいくつもの可能性を提示して見せる明の事である。  皆に無駄な先入観を持たせないために無闇に言葉にはしないが、確実に何かは掴んでいるようで、それに気付いた高村は、無駄に反論する事もなく素直に先を促してやる。 「……分かったよ。君が言うからには、ほぼ間違いないのだろう」 「ありがとうございます。それで、他に何か気付いた事はないのか?」  頷いた高村に一礼した明は新野から差し出された書類を慣れた手付きで取り戻すと、意見を求めるためなのか全員を見回した。
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