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残された令も井原と顔を見合わせると、背後に立つ相変わらず挙動不審なストーカーを前面に押し出してからにっこりと笑い、二人同時に言った。
「それじゃ、高村警視。お願いします」
「お願いします、高村さん」
半分涙目になりながら高村に視線を向けるストーカーを見返すと、何故か必要以上にびくびくされて、顔まで青ざめさせる。
それを聞いた高村が長いため息を吐くが、肝心の明がもう出てしまっている以上、抗議しても無駄だと悟ったのだろう。
仕方なさそうに肩をすくめると、がたがた震えているストーカーを見ながら返す。
「やれやれ……。分かったから。さっさと君達も聞き込みに出かけたまえ」
何だか諦めた感のある非常に力ない答えに、嬉しそうに頷いた二人も実に爽やかに署を後にしたのだった――。
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