『ＤＥＡＴＨ ＭＡＳＫ』

第三章・―捜査開始―

　一方、署を出た令と井原は車に乗り込み、現場となったマンションへと移動する。
　別に聞き込みをする場所を指定されてはいなかったが、いつもは影で別行動をする明が直接聞き込みに行く場所があるからには、初歩的に現場から聞き込みを始めた方が良いと令からの提案があったからだった。
　署から現場までの距離は、車で移動して十数分しかかからない。
　すぐに到着した二人は近くの駐車場に車を止めると、降りて目的地まで歩き出す。
　景色はいまだ冬の様相を成してはいるが、さすがに午前中ともなると、暖かい空気が流れ出している。
　少し枯れかけの草木や鈍色の、寒色系の空が景色の物悲しさを一層増しているように見えた。
　とはいえ、少しは薄着でも寒くない気候になってきてはいるので、比較的良い季節だとも言える。