第三章・―捜査開始―

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 駐車場から現場までに小さな公園があり、その道の先に例のマンションが建っている。  衛生面や危険性やらで何だか公園で遊び辛いご時世になってはいるが、ここはまだ遊具などが無事なまま設置されているようだ。  令はその前で立ち止まると、公園とマンションとを見比べながら呑気にも伸びをし始めた。  公園内には、まだ幼稚園にも行っていないと思われる、年端のいかない子供を遊ばせている主婦達がいる。  ベンチに座ったりしながら巷で有名な井戸端会議を開いているようで、しきりに顔を突き合わせながら、マンションの方をちらちらと見合っていた。  恐らく事件の事を話し、情報を共有しあっているのだろうと令は判断する。  しかしながら、これから何が起こるのか訳が分からず立ち尽くす井原とは違い、令はその光景を見て何かを思案している風で、珍しく賢そうな表情を浮かべながら呟いた。
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