第三章・―捜査開始―

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 その聞き込みを終えた上で、マンションの住人全員にまで捜査の手を伸ばすというのが通常の手段だ。  しかし一軒家とは違い、マンションに住んでいる人間の数は半端ではない。  それら一人ひとりに聞き込みをし、被害者一家の人柄や近所の人達との人間関係、それに関して何らかのトラブルに巻き込まれていなかったか。  部屋を盗撮していたストーカーの詳しい情報などなど、それこそ山のように聞かなければいけない事がある。  それはデータ化されたパソコン作業から得られる情報とは違う、生の声が聞けるものであるがいかんせん物凄く時間がかかる。  そう、この場合重視されるべきはマンションの住人や管理人の方である筈だ。  公園で呑気に井戸端会議を開いている主婦達から、重要な事柄が聞き出せるとは到底井原には思えない。
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