第三章・―捜査開始―

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「マンションの管理人さん達の話も聞きたいけどさ。多分先にストーカーの正体を明かしてしまう方が、今後の捜査がやり易くなると思うんだよね」  先刻まで欠片も見せなかった表情をすると、令はまるで明のように的確な台詞を放つ。  普段こそすっとぼけた発言や行動などが目立つ感のある令だが、本当に頭が悪いのかといえば、実はそうでもなかったりするのだ。  明の前では遠慮しているのか決して見せないが、これでも令は推理も的確で、検挙率はこれでいて同等くらいの数を誇っている。  単刀直入に推理して犯人を確定する明とは違い、外堀を確実に固めながらじわじわと犯人を追い詰めていくタイプなのだ。  大抵の場合犯人の抵抗も少なく、時には説得に応じての自首や出頭も少なくない。  それ故ほとんどのケースが現行犯と言うよりは自白によるものだが、それでも人柄も幸いし、結構所轄からの評判も良い。
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