第三章・―捜査開始―

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「そうなのよぅ。何だか切羽詰まっている様子で、本当気の毒で……」 「あら? 見ない顔ね?」 「済みません不躾に。事件、犯人捕まってないんですよね。俺もちょっと怖くて。たまたま聞こえちゃったから、つい口を挟んじゃいました」  主婦の一人がまじまじと見詰めるのに、ばつが悪そうに頭を掻きながら苦笑する。 「分かるわぁ。怖いわよね。犯人、早く捕まらないかしら」  すぐさま同意してくれた主婦に、残りも同じように頷いた。  どうやら同意してくれた主婦がこの輪の中でボス的地位にいるらしい。そう判断した令がターゲットをその主婦に絞る。 「えっと……、その千夏さん? って人、ストーカーが二人いたんですか?」 「みたい。話が話だから、千夏さんも特定の人にしか相談してなかったみたいだけど、被害届出した人の他に、もう一人しつこいのがいるって話だったわ」  率先してボス主婦が教えてくれる。 
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