第五章・―新たな事実―

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「見事なものだね」  どうしたものかと現場で突っ立っている内に、騒ぎを聞きつけた近所の住人が警察と救急に通報したようだった。  しばらく途方に暮れていると、自分達では呼んでもいないパトカーと救急車が乗り込んできて、ただ立っている二人にどうなっているのかと事情を聞いてきたのだ。  警察にはありのままを話してついでに手帳も見せて、ちょっと不味いかなとか思ったので至急の用件だと高村を呼んだ。  すぐに駆けつけた高村が現場を目の当たりにしての台詞であったのだが、今回ばかりは二人も何も言い返せない。  しかも折角きてくれた救急車にも二人共に無事だからと言って、明が無理矢理に追い払ってしまったのだ。  その間にも、野次馬の整理をしていた令が高村の言葉を聞いて振り返った。  二人共多少は怪我をしている筈なのだがそうは思えずに、はたから見れば元気に動いているように思える。
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