第三章・―捜査開始―

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 素子というのは大学病院の法医学教室に所属する女教授で、法医学の権威でもある、その道では有名な女医だ。  明は彼女とはかなり親しくしていて、検死の腕も信頼している事から、名前を聞いて首を横に振ると続ける。 「刃物で滅多刺しにされているのに、生活反応がある扼殺の後、……ですか」  更に読んでみるとそう書かれていたので、そこまで酷い扱いを受けたとなると、怨恨の線が濃くなるため、被害者との友好関係の洗い出しも徹底的にしなければいけなくなる。 「酷い話だね」  高村もそこは理解出来ているようで、痛ましい表情を浮かべ同意するのに、不意に明が厳しい表情を見せた。  検死の結果が間違っていないとすると、高杉千夏及び夫である和は刃物で身体中を滅多刺しにされた上。  まだ息がある内に、無残にも首を絞められて殺された事になる。
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