第三章・―捜査開始―

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 一人の人間に対してここまで手酷い扱いをするからには、よほどの憎悪があるか、或いは犯人自身の気が狂っているとしか思えない。  もしも犯人の気が狂っているとすれば、現場で発見された遺留品から、指紋が発見されていないのは過去の事例から考えておかしいという可能性の方が高い。  発見されていないという事実から考え得るのは、イコール犯人が丁寧に指紋を拭き取る余裕があったという事だ。  遺体の惨状からして、簡単に出来る事ではないし時間がかかる行為でもある。  人間を切り刻むのには、実は結構手間がかかるし疲れる作業だ。  それは冷静な思考を持つ犯人が好んで行うような、どちらかというと秩序型の傾向に入るのだろう。  また、夫の遺体がずさんに扱われている割に、妻である千夏の方の遺体には現場にあった花が添えられていた。
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