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この事が何を意味するのか、そこまで考えるがさっぱり分からないので首を傾げる。
「もしかすると」
取り合えず何か口にしてみれば思い浮かぶかと思っていたが、当然ながら無意味な事で後が続かない。
「うん?」
その呟きを耳ざとく聞きつけた高村が反応するので、仕方なく突拍子もない事を言ってみた。
「偶然、……なのかも知れないですね」
そんな事がないのは理解りきっているが、何も思いつかないが故の愚行である。
「うん?」
意味が分からず首を傾げながら聞き返す高村を、わざと意識から外しているのか、明は会話には乗らずに否定するように首を振る。
「いや。やはり……。違う、……か」
「明君? 頼むから私を置いていかないでくれるかな」
全然ついていけなくなった高村が、ため息混じりにそう言っても依然明は反応しない。
だが、やがて唐突に高村の背中越しに視線をやると、ようやく口をひらいてくれた。
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