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パラ パラ と
いろいろな色て夜空を飾る花火は美しいけれど、切ない気持ちにもさせた。
「高部、どうした!?」
加藤が慌てて、私の前に来た。私は何の事だかさっぱりわからず、加藤をただ見つめていた。
すると
加藤の手が
私の頬まで伸びて触れた。
私は驚く。
触れられるなんて思ってもいなかったから…
「何故泣いてる?」
私は知らない間に涙を流していたらしい。
それに気付いた加藤は驚いたみたいだ。
触れた所から想いが、伝わればいいのに…
そう思いながら、頬にある加藤の手を私の手で押さえ、ピッタリと頬にくっつけた。
温もりが気持ちいい…
「…高部」
名前を呼ばれたから
加藤の顔を見ようとした。
「!」
次の瞬間
唇が重なった。
驚いて目を開けていたけど
加藤の唇は触れるだけだったのに、だんだんと感触を楽しむように動きだした。
そのまま私は、目を閉じた。
涙は止まらないまま流れ続ける
この夏
何回涙を流しただろう…
きっと、新しい恋に巡り会うまで流れ続けるのだ。
「涙、止まらないな…」
拭っても、拭っても流れてくる涙は、止まる術を忘れてしまったかのようだ。
静かに抱き寄せ
子供をあやすように背中をポンポンと叩く加藤。
「どうしたら泣きやむんだ?」
そんなの簡単。
時間を止めてくれればいい。
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