嬉し悲しい 夏休み

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花火大会の後 何事も無かったかのように二人で勉強をする。 あれは 夢だったのではないか? そう思うぐらい 加藤は普通に接する。 「加藤、あの時なんでキスしたぁ?」 ガッシャン! わかりやすく、机の物を落とし動揺する加藤。 私も別に聞くつもりなんて無かったんだけど、このままスルーされるのも嫌だなぁと思ったら口に出てた。 「私の事好きでもないくせに…何でかなぁ?」 少し虐めたくなってきた。 いつも、辛い思いしてるんだから少し悩めばいい。 「……綺麗だったから、したいと思ったんだよ。無意識だったかも」 息が止まりそう。 うん、それだけでいいかも… 加藤は頭をクシャクシャと掻き回す。 「ごめん!そうだよなぁ…恋人同士がする事だよな…俺って本能のまま動き過ぎだな」 反省の意味なのか、机に頭をつけたまま動かなくなった。 加藤の事好きだから別に嫌とか思ってないけど… 少し期待しちゃうよね。 私の事 好きになってくれたのかもって 「もういいよ。怒ってないし…綺麗って言ってくれて、お世辞でも嬉しいよ」 どさくさに紛れて、加藤の頭を撫でる。触ってしまった。 私は、加藤に好きな人がいる事を知っても卒業までは、好きで居続けるよ。 これは ひと夏の思い出ってやつだ。 忘れないよ… 辛い選択だけど 好きになった気持ちは 止められないから。 もうじき 夏休みが終わる。 実力を試す時まで後少しだ。
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