ゆずれない気持ち

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中学最後の 夏休みが終わった。 始まりと終わりでは随分と 気持ちに温度差がある。 そんな、下がり気味の温度を保ちつつ新学期初日を迎えた。 教室に入り、中を見渡すと加藤はまだ登校していないようだ。 真っ黒になった受験生らしからぬ舞子の姿を見つけ、近付いて行った。 「早く諦めて次の恋すればいいじゃないの」 舞子に 加藤に好きな人がいた…という所とキスの話をした。 東京の高校を受験する話は何となく伏せておいた。 「簡単に諦められるものじゃないでしょ…今更新しい恋なんてしたくないよ」 中学生活は残り半年だ。 それに、簡単に諦められる程軽いものじゃない。 「でもさぁ、好きでもないのに普通キスするぅ?キスだよ」 それはわからない… 嫌われてはいないと思うけど 好きでもないんだよ。 「いいんだよ。私が気にしてないんだから…好きな人と出来て嬉しかったし」 好きでもないのに、キスなんてして…! そう思いがちだが、気持ちは以外とあっさりしていた。 キスなんて 問題じゃないんだ… 加藤の夏休みの猛勉強は きっと良い結果をもたらすだろう。それほどに、実力がついたと思う。 結局、加藤の喜ぶ顔が見たくて私も頑張ってしまった。 彼は東京に行くだろう。 …どんな人なのかな、加藤の好きな人って、見てみたいなぁ。 「イク、草野君が呼んでるよ」 草野? 誰だっけ… 重い身体を動かし、廊下に向かった。
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