ゆずれない気持ち

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廊下に出ると 細くて背の高い、男子が立っていた。 「高部さん」 私に気付いて近付いて来たからこの人が草野だろう。 やっぱり、知らない。 「…はい、何でしょうか?」 顔をよく見ようと、草野を見上げようとした時 大きな笑い声が聞こえた。 声が近付くにつれ、ドキドキしてくる。 加藤が数人のクラスメートと一緒に教室に向かって来たのだ。 「加藤先輩!おはようございます!」 突然 目の前の草野が、元気よく加藤に向かって頭を下げた。 驚いた…後輩なの? 「よぉ!草野。久しぶり。練習頑張ってっかぁ」 「はい。加藤先輩が抜けた穴はやっぱり大きいですね」 加藤は陸上部だった。 会話を聞いていると、草野は陸上部員ってことか… 「お前…何しに、ここにいるんだ?」 当然の疑問だろう。 呼び出された私も、何だかよくわからないのだから… 「僕は高部先輩に用事があって来たんです」 やっと、私がいる事に気付いて『おはよ』と言ってきた。 別にいいけど 悲しいなぁ…夏休み毎日一緒にいたのに。 「へぇ…知り合いだっけ?」 その問いに私は首を振る。 おもいっきり、初対面です。 二人で草野を見ると ニッコリ笑ってから、はっきりと言った。 「高部先輩に、告白しに来ました。付き合って欲しいんです」 「「えぇっ!?」」 ちょっと 何で加藤も一緒に驚くかなぁ…失礼だし。 「草野、本気かぁ!?高部だぞぉ?」 ムカついたっ! そのまま膝の辺りを、おもいっきり蹴飛ばしてやった。 「はい、加藤先輩が好きな高部先輩が好きなんです」 今、何て言ったぁぁっ!! .
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