ゆずれない気持ち

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学校から少し歩くと だるま屋と看板がかかった駄菓子屋がある。 私達の学校の生徒が帰宅途中によく買い食いする場所が、だるま屋だ。 夏はみんながアイスを買って帰るので、売り切れることもたまにある。 あまり仕入れてないという噂もあるが…定かではない。 「おばちゃん、アイス二本ね!中にアイスもうないよ」 「あ~~い」 店の奥で、だるま屋女主人幸ばあちゃんが、曲がった腰を叩きながら出て来た。 お金を渡すと また奥に引っ込んで行った。 アイスを 補充する気はないらしい。 「はい、草野君。食べなよ」 アイスを差し出すと、頭を下げ受け取る。少し不満げな顔をしている草野は、袋を開け食べ始めた。 「だるま屋ですか…?どこかお店に行きましょうよ」 その言葉は無視する。 草野と二人で出かける気はない早く話を終わらせて帰りたい。 「お金あまり持ってきてないの…草野君は、何で私が加藤を好きだって事知ってるの?」 まだ、半分も食べていないのにアイスが溶け出した。早く食べないと落ちてしまいそうだ。 「毎日、絵を描きながら加藤先輩見てたでしょ…凄い幸せそうな顔して、あんな顔好きな人を見つめてる時にしかしないですよ」 顔に出てたんだ…恥ずかしいな 「あの笑顔が好きなんです。加藤先輩を好きなままでもいいです…僕と付き合って下さい」 好きなまま…? 何か知っているみたいだ。 .
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