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加藤の夏休みの
猛勉強の成果は素晴らしいものだった。
各学年の廊下に中間テストの1~50位の者の名前が張り出された。
加藤は12位という
今まで50位にも入った事のない人のランクではない…皆その事で騒いでいる。
因みに、私は8位だった。
私にも夏休みの成果が出ていたこれは、嬉しい誤算。
浮かれて、結果なんて出るとは思っていなかったから。
「高部!見たか?凄くねーか、俺ってば!?」
ランク表を見た加藤が興奮して私の元に走り寄って来た。
「驚いた…今まで何してたの、加藤?」
相当サボっていたわけだ、勉強することを…ずっと頑張ってた人達にとったら嫌な奴だ。
「高部の教え方が良かったんだろーよ。すっげえ解りやすかったぜ」
…何だろう
この無邪気な笑顔は。
何かに似ている。
思わず、ぎゅ――っと抱きしめたい衝動にかられるもの…
「あ、子犬だ」
尻尾をパタパタ振って足元にじゃれつく、あの感じだ。
「犬?…それよりさ、この後も勉強見てくれよな。高部に教わると確実に実力アップする事がわかったからな。よろしくな」
無邪気だなぁ…
私が、というより加藤が元々持っていた力だと思うんだけど。
加藤は
私の返事を聞かず走り去った。断るとか、考えてないのかな?
…断りたくても、出来ないんだけどね。どんな状況になっても側にいたいって考えちゃう。
つまらない役所だ。
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