ゆずれない気持ち

8/11
前へ
/26ページ
次へ
加藤の夏休みの 猛勉強の成果は素晴らしいものだった。 各学年の廊下に中間テストの1~50位の者の名前が張り出された。 加藤は12位という 今まで50位にも入った事のない人のランクではない…皆その事で騒いでいる。 因みに、私は8位だった。 私にも夏休みの成果が出ていたこれは、嬉しい誤算。 浮かれて、結果なんて出るとは思っていなかったから。 「高部!見たか?凄くねーか、俺ってば!?」 ランク表を見た加藤が興奮して私の元に走り寄って来た。 「驚いた…今まで何してたの、加藤?」 相当サボっていたわけだ、勉強することを…ずっと頑張ってた人達にとったら嫌な奴だ。 「高部の教え方が良かったんだろーよ。すっげえ解りやすかったぜ」 …何だろう この無邪気な笑顔は。 何かに似ている。 思わず、ぎゅ――っと抱きしめたい衝動にかられるもの… 「あ、子犬だ」 尻尾をパタパタ振って足元にじゃれつく、あの感じだ。 「犬?…それよりさ、この後も勉強見てくれよな。高部に教わると確実に実力アップする事がわかったからな。よろしくな」 無邪気だなぁ… 私が、というより加藤が元々持っていた力だと思うんだけど。 加藤は 私の返事を聞かず走り去った。断るとか、考えてないのかな? …断りたくても、出来ないんだけどね。どんな状況になっても側にいたいって考えちゃう。 つまらない役所だ。 .
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

565人が本棚に入れています
本棚に追加