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「…じゃあ、ここを明日までにやってきてね」
午後5時になり
図書館が閉館する。
机に広げた参考書やノートを片付けながら、加藤を盗み見た。
鼻歌を歌いながら、私が出した課題をチェックしている。
夏休みの大半を一緒に過ごした図書館で、学校が終わってから閉館まで加藤と勉強をするようになった。
成績が面白いように上がった事に喜びを感じた加藤は、毎日楽しそうに、勉強に取り組んでいる。
楽しんで出来るのは
良い事だよね。
「私も一緒に成績が上がってたよ。加藤のお陰だね」
一緒に過ごせて、成績も上がって…一石二鳥だよね。
一人でクスクス笑っていると、片付けが終わった加藤は私をじっと見ていた。
それに気付いた私は、ドキドキして落ち着かない。
「な、何??」
視線が泳ぐ。
加藤が見れない。
「俺のお陰なワケないだろォ…高部がもともと、持ってたんだよ…教え方が上手いよなぁ、先生に向いてるんじゃないか?」
「せ…先生?私が??」
加藤はクシャッと顔をくずして笑うと、私を指さして更に、私を天にも昇る気持ちにしてくれた。
「高部に勉強を教わるのは、面白い。明日が楽しみになる…実際、成績も上がった。これって凄くないか?高部が持っている才能だと思うなぁ」
「…誉め過ぎだよ」
嬉しくって涙が出そう。
そんなふうに思っていてくれたんだ。楽しそうに感じていたのは、私に勉強を教わっているからってことでしょう…
加藤の役に立つ事が出来て
嬉しいな。
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