受験

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時が過ぎるのは早い。 一分一秒でも、大切に使いたいと思っている受験生の私達にとっては、特に早く流れていくように感じる。 「もう、大丈夫よね。二学期の中間、期末テストも安定して良い成績だもの」 年の暮れ 今日は二学期の終業式。 加藤と二人で帰る途中だった。 ずっと、学校帰りに図書館で勉強してきたから、一緒に帰るのが当たり前になっていた。 「高部、俺な…親の許可が貰えたら、冬休み中に東京に行って来ようと思ってるんだ」 ドキッとした。 心臓をギュッと掴まれたみたいだ… 「そ、そう…下見しておくのは良いかもね」 東京に行けば『モモカ』さんに会うということだ。 加藤との距離は縮まる事はないと思っていたけど…また一枚大きな壁が落ちてきたみたい。 遠いな… 「受かれば春から世話になる所だし…大変だったんだぜ、親を説得して納得させるの…むこうに頼むのは親だからな。上手くいって良かったよ」 「加藤、頑張ってきたもの…ご両親も分かってるわよ。結果も出してるしね」 気分良く話している横で、沈んでいる気持ちを隠しながら笑っている。 受験が終わったら この行き場のない気持ちも終わりにしよう。 きっぱりとフラれて 楽になりたい。 .
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