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須藤と話している間も加藤をチラチラと盗み見る。
背もたれを前にして抱え込み、クルクル回っている加藤はまだ膨れている。
時々、須藤に欝陶しいと言われ足で止められている。
そんな加藤でも
可愛いなぁ…
とか思ってしまうのは、やっぱり好きだからだろう。
「よし、これでいいなぁ。高部も頑張れよ、このままいけば志望校は大丈夫だよ」
私の用事が終わってしまった。加藤はまだ須藤と話す気満々だから、残るだろう。
もう少し、側にいたいなぁ…
「…先生、加藤君どうしたんですか?」
この場にいたくて
思い切って聞いてみた。
この思い切った事が後々響いてくるんだよね…
「あ~、志望校のことでなぁ…成績とあってない所を受けてもなぁ」
ガシャンッ!
加藤が勢いよく立ち上がり、弾みで椅子が倒れた。
驚いた。
「やる前から諦めても仕方ないだろっ!夏休み中、猛勉強していけるレベルまで上げてやるよ!」
職員室にいた先生達が皆、こちらを見ている。暫くの間、職員室の中が静かになった。
うち破ったのは
須藤の意外な言葉だった。
「そうだ、高部。加藤の勉強みてやってくれないか?一緒に勉強すればお互い伸びるぞ」
私がっ!?
その意見に加藤が物凄く興味を持ち、近付いて来た。
「…高部お前、頭良いよな…夏休み勉強みてくれないか?頼むよっ!」
「…えぇっ!?」
降って湧いたラッキーな話しに私がのらないわけがなかった。
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