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「俺のずっと好きだった人が今年、青葉学園に入学したんだ」
頭を
大きなカナヅチでおもいっきり叩かれた感じだ。
本当に、マンガみたいに
ガーンって音がした。
好きな人の元に行きたいって事なの?
私は、その手助けをしないといけないってこと??
そんなの
嫌だよぉ…
「高部?」
黙り込み固まってしまった私の顔をじっと見ている。
いけない…
気持ちを落ち着かせないと。
「…ごめん、ごめん。冷房が効き過ぎだよね、ここ…寒くなっちゃった。少し外に出て来てもいいかなぁ?」
精一杯の
笑顔を加藤に向ける。
「いいぜ。俺、問題集進めとくから」
黙って席を立ち、足早に外に出る。
まだ、まだよ…もう少し離れた場所まで行かなきゃ…我慢して…郁子!
自分に言い聞かせながら
図書館の裏にある、小さな公園まで歩いた。
冷房が効いた図書館の中とは違い、外はまだ午前中だというのに物凄く暑い。
汗が流れてくるのに
そう時間はかからなかった。
そして
私の涙も一緒に流れはじめた。
告白もしていないのに、失恋決定ってどうなの?
今まで想ってきた私の気持ちはどこへ行っちゃうんだろう。
こんなふうになるなら、引き受けなければ良かった…
貴方を
好きにならなければ良かった。
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