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私の辛い気持ちを隠して
好きな人の元へ行くため猛勉強をする彼を手助けする毎日。
早く諦めれば良いのに
毎日会う中、学校では見れない新しい加藤を見つけると、嬉しくなってしまう自分もいた。
夏休みを半分過ぎた頃
加藤から、思いがけない事を言われた。
「今日の花火大会、ちょっと息抜きに、一緒に見に行かないか?」
断るわけがない。
私は二つ返事でOKする。
今は、加藤に
好きな人がいるって事を忘れて一緒にいられる事を楽しもう。
この時から
卒業するまでの間は、加藤といられる喜びを存分に楽しもうと考えるようになった。
私が落ち込んでいても、加藤に好きな人がいる事に変わりはない。
私の事をどう思っているのかさえ、分からないのだから…
図書館から戻ると
母を探した。
「お母さーん、私の浴衣直ぐに出る~?花火大会に行くの」
せめて
可愛い格好で行きたい。
そんな思いから浴衣で行こうと考えた。
「出るわよ。もしかしてって思って用意しておいたわ」
さすが、お母さん!
私の考えを読んでるなぁ。
去年、浴衣、浴衣って大騒ぎしたせいもあるかな…
約束の時間は7時。
それまでに、お風呂に入り汗を流し、浴衣に袖を通し母に着付けて貰う。
「中学三年ともなると、浴衣が色っぽいわね。はい、いいわよ楽しんでらっしゃい」
ポンッとお尻を叩かれて仕度が終わった。
時計を見ると6時45分
もう、家を出てもいい頃だ。
待ち合わせ場所の近くの公園まで行くことにした。
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