眼の赤い黒猫

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それから数日が経過したが、リアス――良介がつけた黒猫の名前である――に不審な点は見つからなかった。相変わらず声は出さなかったが、食事はよく摂るし健康に問題もないようだ。 それよりも不思議なことがあった。 「なんか最近、気が楽なんだよね」 ナカドウさんが姿を現すことがなくなっていた。それはおろか、以前からこの部屋に巣くっていた暗いオーラも、あまり感じられなくなっている。 「これってやっぱり、リアスが……」 「お前もそう思うか。詳しいことはわからないが、何か関係してるかも知れないな」 良介は、床に寝転がっていたリアスを見下ろしながら思った。 久々のこの安楽は、一体何を表しているのだろう?いや、そもそもこれは安楽なのか? リアスと目があった。真紅の瞳があらわとなる。 この黒猫は、一体何を引き寄せたのだろう?兄弟には、それを知りうることができなかった。
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