悪夢のつづき

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一日遅れの新聞が届く――。 坂井兄弟の、どれだけ絶望したことか。これでやっと逃れられた、と肩の力を抜いたその矢先だったから、衝撃も大きかった。 一回目の時と違い、兄弟はほとんど喋らなかった。兄は、二つ並んだ昨日の新聞を見比べ、手を目にあてたりした。それを見ていた弟は、ただ一言、 「……やっぱり、逃げられないね」 と言った。 結局、二人は未だに目の前の脅威を回避できずにいた。ふと気付けば、部屋の片隅に怨霊が、憑依された弟の悲鳴が――そんな日々がまた始まる。 弟の呟きに答えるように、兄は 「これからは、三人暮らしなんだな」 聞こえるか聞こえないかきわどいような声で、そう言った。 ――ナカドウさんはここまで追ってきた。 きっとその意志は、本気だ。
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