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暗闇の中でのたうちまわる音が聞こえた。兄は慌てて弟を押さえつけた。
「良介。おい、良介!」
良介は体を波打たせるようにして暴れた。他でもない、体の内部に潜む何かが暴れているようだった。
良介はけらけらと笑った。
兄は弟の首に手をかけた。きつく締め付ける。
弟は笑うのをやめ、静かになった。動かない。気を失ったようだ。
静寂が逆に苦しかった。
俺は恐ろしいことをしてしまった。健介は自分が怖くなっていた。一歩間違えば、弟を殺してしまうところだった。
しばらくすると電気がついた。弟の首元には微かに爪痕がついていた。健介は何かを否定するように、よそよそしく布団を敷いて、弟を寝かせた。
もう電気は点滅しなかった。
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