悪夢のつづき

4/5
前へ
/26ページ
次へ
暗闇の中でのたうちまわる音が聞こえた。兄は慌てて弟を押さえつけた。 「良介。おい、良介!」 良介は体を波打たせるようにして暴れた。他でもない、体の内部に潜む何かが暴れているようだった。 良介はけらけらと笑った。 兄は弟の首に手をかけた。きつく締め付ける。 弟は笑うのをやめ、静かになった。動かない。気を失ったようだ。 静寂が逆に苦しかった。 俺は恐ろしいことをしてしまった。健介は自分が怖くなっていた。一歩間違えば、弟を殺してしまうところだった。 しばらくすると電気がついた。弟の首元には微かに爪痕がついていた。健介は何かを否定するように、よそよそしく布団を敷いて、弟を寝かせた。 もう電気は点滅しなかった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加