◇あの世の国のアリス。

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   なんだろう。  あたまがぐらぐらして気持ちがわるい。  これは夢?  暗いくらあい……  くるくるくるくる。  なんだか怖い。  いや。いやだいやだ嫌だ。  ボディブローボディブロー。  ジャブジャブ。  フックフッ―― 「……ったいわね! このガキんちょ!」  だれ?  大きな声に驚いて目を開ける。  どうやら寝ていたみたいだ。  目覚めても体は揺れている。いつもより視界が高い気がするのは気のせいかしら。  首を回すと見えるのは、『へ』の字になった私の体の横にある誰かの後頭部。腰には手が回されている。  なあるほど。私は誰かに担がれているんだわ、と気づくまでには少し時間がかかった。 「大人しくしててよ。あんまり目立ちたくないんだから」  聞き覚えのある声――それは、私の家に勝手に上がり込んでいた、あのペペロンチーノ女。略してペ女のものだ。 「あなた……私を一体どうするつもりなの?」  ハッ!? もしかして、このペ女も魔王の…… 「んー? ふふ……私はね。あなたを助けてあげようとしてるのよ」 「助けて? 私は助けてもらわなければならないことなんて、なんにも……」 「さっき、『あなたは死んでいる』という前提で話をしていたでしょう?」  まただ。背中がゾワゾワする。  振り払うように私は口を開く。 「私は死んでなんかいません!」 「んふふふふー……そう。実は、あなたは死んでなんかいなかったのよ」 「――え?」  そんなに簡単に認められてしまったら、私はどうしたらいいのでしょう。  教えて。おじいさん。  
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