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なんだろう。
あたまがぐらぐらして気持ちがわるい。
これは夢?
暗いくらあい……
くるくるくるくる。
なんだか怖い。
いや。いやだいやだ嫌だ。
ボディブローボディブロー。
ジャブジャブ。
フックフッ――
「……ったいわね! このガキんちょ!」
だれ?
大きな声に驚いて目を開ける。
どうやら寝ていたみたいだ。
目覚めても体は揺れている。いつもより視界が高い気がするのは気のせいかしら。
首を回すと見えるのは、『へ』の字になった私の体の横にある誰かの後頭部。腰には手が回されている。
なあるほど。私は誰かに担がれているんだわ、と気づくまでには少し時間がかかった。
「大人しくしててよ。あんまり目立ちたくないんだから」
聞き覚えのある声――それは、私の家に勝手に上がり込んでいた、あのペペロンチーノ女。略してペ女のものだ。
「あなた……私を一体どうするつもりなの?」
ハッ!? もしかして、このペ女も魔王の……
「んー? ふふ……私はね。あなたを助けてあげようとしてるのよ」
「助けて? 私は助けてもらわなければならないことなんて、なんにも……」
「さっき、『あなたは死んでいる』という前提で話をしていたでしょう?」
まただ。背中がゾワゾワする。
振り払うように私は口を開く。
「私は死んでなんかいません!」
「んふふふふー……そう。実は、あなたは死んでなんかいなかったのよ」
「――え?」
そんなに簡単に認められてしまったら、私はどうしたらいいのでしょう。
教えて。おじいさん。
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