◇この世の国のアリス。

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   目を醒ますとそこは真っ白なお部屋。  白い壁と床と、膨らんだベッド。  窓際に置かれた青いお花が、一輪だけ自己主張している。  ここはどこ? まだ夢を見ているのかしら? フワフワする…… 「ちょっとお! 離しなさいよ!」  また叫び声。  これで見る展開は何度めかしらと思いつつも、声のする方へと目を向ける。  そこには悪魔のような形相の魔王――ぺ女と、それともつれ合うようにして、ハクトさんがいる。 「おお、起きたかアリス。今のうちに、早く、自分の身体に戻るんだ!」  戻る? 自分の? 一体、何を言っているの? ハクトさんまで魔王に洗脳されてしまったとでもいうの? 「いいから、ベッドの上――」 「ちょっ、止めてよ! 『それ』は私のなんだから……ってか、レディの足をいつまでも掴んでないでよ! この変態! バカ! パンツ見えてるでしょ!」 「うるっさい! この……なんでもいいや。とにかくアリス! ベッドの上に行くんだ」 「例えを諦めるな!」  なおももぞもぞともつれ合う二人。魔王的な儀式なのかしら?  訝しみながらも、恐る恐るベッドへと歩み寄る。  やめてーという、ペ女の声がした。  ベッドの上を見ると、そこにいたのは…… 「――わたし?」  そう、私だった。  
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