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「なんで……わたしが?」
ハクトさんが何か叫んでいるけど、聞こえない。
また背中がゾワゾワする。
「これは、え? どういう――」
ペ女が叫んでいる。
「わたしが、二人……わたしがわたし……たわし、わたがし、しかしてわたし……ハッ!」
閃いてしまった。
そういえば以前、おじいさんから聞いたことがある。
おじいさんは若い頃――私くらいの歳のころに、『ドッペルゲンガー』というものに遭遇したと話していた。
ドッペルゲンガーというのは自分にそっくりな容姿をしていて――おじいさんは上手く付き合っていたみたいだけれど、普通は、ドッペルゲンガーに会ったら殺されてしまうとか――そう、そうだわ。
ドッペルゲンガーに会ったら、戦って勝利しなければ生き残ることはできないのよ!
しかも、見ればドッペルゲンガーの方は、いままさにおやすみ中……倒すには絶好のチャンスだわ!
「チェェェェストォォォォォオッッ!!」
ドッペルゲンガーめがけて手刀を繰り出す私。
それが、額に当たるか否かの瞬間――
私はもの凄い力で引き寄せられ、ドッペルゲンガーの身体の中へと吸い込まれてしまった。
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