◇この世の国のアリス。

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  「なんで……わたしが?」  ハクトさんが何か叫んでいるけど、聞こえない。  また背中がゾワゾワする。 「これは、え? どういう――」  ペ女が叫んでいる。 「わたしが、二人……わたしがわたし……たわし、わたがし、しかしてわたし……ハッ!」  閃いてしまった。  そういえば以前、おじいさんから聞いたことがある。  おじいさんは若い頃――私くらいの歳のころに、『ドッペルゲンガー』というものに遭遇したと話していた。  ドッペルゲンガーというのは自分にそっくりな容姿をしていて――おじいさんは上手く付き合っていたみたいだけれど、普通は、ドッペルゲンガーに会ったら殺されてしまうとか――そう、そうだわ。  ドッペルゲンガーに会ったら、戦って勝利しなければ生き残ることはできないのよ!  しかも、見ればドッペルゲンガーの方は、いままさにおやすみ中……倒すには絶好のチャンスだわ! 「チェェェェストォォォォォオッッ!!」  ドッペルゲンガーめがけて手刀を繰り出す私。  それが、額に当たるか否かの瞬間――  私はもの凄い力で引き寄せられ、ドッペルゲンガーの身体の中へと吸い込まれてしまった。  
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