◇あの世の国のアリス。

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  「はぁ……」  穏やかな顔の人Cを倒した後、やたらと小綺麗な河原で石を積み上げながら、溜め息をつく。 「結局、魔王の居場所は解らなかったし……どうしようかしら」  石の高さはいま、腰のあたり。この調子なら、身長の高さまで積むのも余裕だろう……と、調子に乗った瞬間。 「……あっ!」  石の塔がバランスを崩し、倒れた。 「あーあ、せっかく積んだのに……」  崩れた石を一つ、拾い上げる。その形は平らで、程よく手に馴染む大きさ。それと目の前にある穏やかな河が目に入る。 「……水切りをするにはもってこいね」  自己ベスト25回。更新なるか。私はその石を大きく振りかぶって、投げた。  小気味よいリズムで快調に跳ねていく小石。我ながら最高のピッチングだ。  小石は、8、9、10、と、跳ねる回数をどんどん増やしていき、間もなく、それが20の大台に乗ろうとしたところで、 「……あ、終わった」  川幅の限界。向こう岸に辿り着き、止まる石。残念ながら記録更新ならず。  ……なんだか虚しい。 「はぁ……何だか馬鹿馬鹿しくなっちゃったな……」  よく考えたら、おじいさんは一度も本当のことを言ったことがないし……実際、魔王なんてどこにもいないに違いない。きっと、洗脳されていたのは、おじいさんの方だったのだ。そう考えると普通に納得出来る。おじいさんの目は、常に泳いでいた。 「……大人しく帰ろうかな……」  誰にともなくそう呟いて、立ち上がる。すると突然、背後から男の声で『オイコラ』と、声をかけられた。  あらやだ。スカウトかしら?  
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