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~春蕾詠~
初春の嵐に散った薄紅色の花の蕾よ。
花咲くる日を待たずして散った小さな蕾よ。
汝は何を思いながら高き枝の先より墜ちたのか。
…栄華の時を経ずして滅びゆく我が身の悲運を恨んでいるのか。
…それとも酷く朽ちゆく運命を逃れ純潔のまま死する幸運を言祝いでいるのか。
嗚呼、初春に散った花の蕾よ。薄幸の聖女よ。
汝は朽ちてゆく。春の香を孕んだ寒風の葬送曲を聴きながら。
…嗚呼、純潔の聖女よ。汝は滅びゆく運命を逃れ得なかったのだ。
【作者様:有栖川露陰】
*クリエイター活動有*
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