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「すっごいイケメンですね」
菜穂が興奮気味に囁く。
年上好きの菜穂にとっては「ど真ん中」らしい。
控えめな印象なので気づきにくいが、確かに遊佐は整った顔立ちをしている。
「うわ、迷う~」
菜穂はニューを見ながら本気で悩んでいる。
「私はピザトーストとコーヒーで」
「えっ、もう決まったんですか!?」
みずきは頷く。
みずきはメニューを決める時、あまり悩まない。
初めての店でも何となく選ぶが、不思議と外れたことがない。
食い意地が張っているせいか、そういう嗅覚は利く方だと思う。
散々迷って、菜穂はホットサンドとアーモンドオーレを注文した。
「このお店って、昔からありましたっけ?」
菜穂はおしぼりで手を拭きながら、首を傾げる。
行きつけの店を多く持つ菜穂は、会社の周囲にある店は一通り網羅している。
「前のオーナーがリタイアして田舎に引っ越すと言うので、安く譲ってもらったんです。扉と内装は変えたけど、カウンターやテーブルはそのまま使ってるから」
なるほどとみずきは思う。
店内のカウンター、テーブルや椅子は素材もよく、いい意味で使い込まれた感がある。
深い色味の家具は店内の落ちついた内装に違和感なく溶け込んでいた。
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